今年から有名人を使った広告に関して厳しい規制が入ります。
この法律ができた大きなきっかけが、Miss GrandのThuy Tienが原因だとは思いますが。。
改正広告法についてポイントだけ先にまとめると、
- 2025年改正広告法(法律75/2025/QH15)は、2026年1月1日施行予定で、KOLや有名人を「広告を伝達する者」として明示的に法規制の対象に入れています。LuatVietnam+1
- 彼らには「事前の確認義務」と「広告であることの明示義務」が課され、虚偽広告に関与した場合には
- 行政処分(罰金・広告削除・訂正)
- 消費者などへの損害賠償
- 重い場合は刑事責任(刑法197条の虚偽広告罪など)
まで視野に入った責任追及が可能になります。Tilleke & Gibbins+3LuatVietnam+3Báo điện tử Tiền Phong+3
以下、少し細かく整理します。
1. 改正広告法2025年の位置づけ
- 法律名
- 2012年広告法を改正する法律75/2025/QH15
- 採択
- 2025年6月16日 国会で可決
- 施行
- 2026年1月1日から施行予定LuatVietnam+1
大きな方向性としては
- 「広告」の定義に「人を使った広告(インフルエンサー、専門家、芸能人など)」を正式に含める
- 「広告を伝達する者(advertisement conveyor)」という概念を新設し、その権利義務を明示
- オンライン広告と越境広告の規制強化
- 虚偽広告などの違反に対する制裁を強化し、刑事責任との接続を明確化
というものです。vietnamlawmagazine.vn+1
2. KOL・有名人はどう定義されるか
改正法では、KOL・有名人を個別に条文番号で定義している訳ではありませんが、実務上は次の二重の位置づけになります。
- 「広告を伝達する者(người chuyển tải sản phẩm quảng cáo / advertisement conveyor)」
- 商品やサービスを、営利目的で
- ネット上で紹介・推薦・確認する人
- 服や持ち物などで広告メッセージを表示する人
を広く含みます。LuatVietnam+2vietnamlawmagazine.vn+2
- 商品やサービスを、営利目的で
- その中でも「影響力のある者(người có ảnh hưởng / influencer)」
- 消費者保護法2023年が定義する
- 特定分野で高い知名度や信頼を持ち
- 消費者の意思決定に影響を与える個人
を指し、KOLやKOCがここに含まれると明示されています。LuatVietnam+2LuatVietnam+2
- 消費者保護法2023年が定義する
したがって、芸能人やインフルエンサーが商品を紹介する行為は「広告」であり、その人物は「広告を伝達する者」であり「影響力のある者」として、明確に責任主体になります。
3. KOL・有名人に課される主な義務
新設の第15a条などにより、「広告を伝達する者」および「影響力のある者」には次のような義務が課されます。LuatVietnam+2VietNamNet News+2
3.1 全ての「広告を伝達する者」に共通する義務
- 消費者保護法と、商品・サービスの機能や品質表示に関する規定を遵守すること
- 広告サービスから得た収入について、税務義務を果たすこと
- 行政機関から求められた場合、広告内容に関する資料を提出すること
- 広告内容が法律の要求(真実性、明確性、誤認防止など)を満たしていない場合、法的責任を負うことLuatVietnam+2vietnamlawmagazine.vn+2
3.2 KOL・有名人に特有の追加義務
「影響力のある者」としてのKOLや有名人には、特に次の義務が強調されています。TUOI TRE ONLINE+3LuatVietnam+3Báo Thanh Niên+3
- 事前の確認義務
- 広告主の信頼性を確認すること
- 広告対象となる商品・サービスの資料やエビデンスを確認すること
- 自分が実際に使っていない、又は内容を理解していない商品・サービスは原則として宣伝してはならないこと
- 広告であることの明示義務
- SNS投稿やライブ配信、動画などにおいて
- 「これは広告」「スポンサーコンテンツ」など、広告や協賛であることを、開始前および実行中に明確に表示・発言すること
- 「レビュー」「体験談」と称していても、対価を受け取っているものは広告とみなされ、同じ義務が適用されます。VietNamNet News+2TUOI TRE ONLINE+2
- SNS投稿やライブ配信、動画などにおいて
- 虚偽・誇大な内容を避ける義務
- 製品の機能や効果を、科学的・法律的に許容される範囲を超えて誇張してはならないこと
- 特に健康食品、美容・医療サービスなど「リスクの高いカテゴリー」は厳格に扱うべきとされています。Báo Thanh Niên+2Báo Người Lao Động Online+2
4. 虚偽広告に関与した場合の責任
改正広告法と既存の刑法・消費者保護法を組み合わせると、KOLや有名人の虚偽広告には三つのレベルの責任が想定されます。
4.1 行政責任(行政罰)
改正広告法は、違反時の制裁について「行政処分または刑事処分の対象になる」と規定しています。具体的な罰金額などは、政府が定める政令(現行では主に38/2021、今後改正予定)で詳細化されますが、メディア報道や専門家解説では
- 虚偽広告に関与したKOL・有名人は
- 行政罰としての罰金
- 問題広告の削除命令
- 誤った情報についての「訂正広告」や「お詫び」の掲示命令
を受ける可能性があるとされています。Báo điện tử Tiền Phong+2TUOI TRE ONLINE+2
特に2025年11月の座談会の報道では
- 「虚偽広告を行い消費者に損害を与えた場合、KOLは処罰を受け、訂正や賠償を命じられ得る」
- 「個人の体験談として装ったレビューも、実質が販売促進であれば広告として扱う」
と明言されています。Báo điện tử Tiền Phong+2TUOI TRE ONLINE+2
4.2 民事責任(損害賠償)
改正広告法第15a条は、影響力のある者が虚偽広告で消費者に損害を与えた場合
- 消費者保護法の適用対象者として
- 消費者に対する損害賠償義務
- 必要に応じて是正措置や返金など
を負うことを想定しています。LuatVietnam+2LuatVietnam+2
実務解説や報道でも
- 「虚偽広告で消費者に損害が出た場合、企業だけでなくKOL自身も賠償義務を負い得る」
とされており、今後は
- 「企業」と「プラットフォーム」と「KOL」がそれぞれの過失に応じて責任分担を問われる構図
が強く意識されています。TUOI TRE ONLINE+2https://baomoi.com+2
4.3 刑事責任(虚偽広告罪など)
改正広告法自体は刑罰の内容を定めていませんが
- 「虚偽広告」が一定の条件を満たす場合
- 刑法2015年(改正2017年)の
- 第197条「虚偽広告罪」
- 場合によっては第198条「顧客欺罔罪」
- 刑法2015年(改正2017年)の
で処罰され得ることを明示的に示しています。DFDL+2Tilleke & Gibbins+2
刑法197条の概要は次の通りです。BWC Implementation+2WIPO+2
- 過去に行政処分や有罪判決を受けているにもかかわらず、なお虚偽広告を続けた場合など
- 罰金 1,000万〜1億ドン
- または最長3年の「拘禁を伴わない自由制限刑」(非拘禁刑)
- 付加的に
- 500万〜5,000万ドンの追徴金
- 1〜5年間の職業・業務禁止
が科され得ます。
改正広告法は、広告違反について
- 個人だけでなく「法人」に対しても刑事責任追及が可能になるよう規定を補強しており、企業側にも重いプレッシャーがかかる設計です。DFDL+1
5. 旧法との違い
2012年広告法では
- KOLや有名人のような「広告を伝達する者」の権利義務は明確に定義されておらず
- 虚偽広告があっても
- 主に広告主企業だけが責任を問われ
- 芸能人側は「私は台本に従っただけ」「個人的感想だ」と責任逃れしやすい構造
でした。vietnamlawmagazine.vn+2DFDL+2
改正広告法2025年では
- 「広告を伝達する者」を法上の主体として明記
- KOL・有名人は
- 広告主から真実かつ完全な情報を受け取る権利がある一方で
- 自らも内容を確認し、広告であることを表示する義務を負う
- 虚偽であれば
- 行政罰
- 損害賠償
- 場合によって刑事責任
というフルセットの責任が正面から想定されている
という点が決定的な違いです。LuatVietnam+2VietNamNet News+2
ベトナムのメディアでも
- 「KOLは今後『私の個人的体験に過ぎない』とは言えなくなる」
- 「フォロワー数ではなく信頼性で評価される市場に移行していく」
とコメントされています。Báo Pháp Luật TP. Hồ Chí Minh+1
6. 実務的にどう考えるべきか
改正法施行後、KOLや有名人が虚偽広告に関与する場合の実務上のイメージは次のようになります。
- 軽度
- 誤解の余地はあるが、故意性や被害が小さい場合
- 行政機関からの指導、広告削除命令、比較的軽い罰金
- 中程度
- 繰り返しの誇大広告、健康食品などの過剰な効能主張
- 罰金に加え、訂正広告義務
- 消費者からの損害賠償請求リスク
- 重度
- 行政処分や警告後も改善せず、重大な健康被害や経済被害が発生
- 刑法197条等による刑事訴追の可能性
- 企業側も組織としての刑事責任を問われる余地
特に、これまで「レビュー動画」「体験談」として曖昧なグレーゾーンで済んでいた部分が、2026年以降は「広告」として明確に扱われ、同じ責任の枠に入る点が大きな転換点です。TUOI TRE ONLINE+2VietNamNet News+2
7. 補足
まだ細かい罰金額や手続きについては、文化・スポーツ・観光省などが所管する政令の改正が進行中で、運用の細部は今後さらに詰められる見込みです。Báo Thanh Niên+1



